北里大ら、底質リンでサンゴ礁への陸域負荷を測る新手法を開発

北里大学、琉球大学、産業技術総合研究所および総合地球環境学研究所の研究チームは、石西礁湖(せきさいしょうこ)のサンゴ保全における陸域対策の重要性を示す新たな評価方法を確立した。──サンゴ礁は生物多様性が高く、漁業資源や観光資源として重要であるが、気候変動や沿岸開発により衰退が進んでいる。特に石西礁湖では、陸域からの栄養塩や有機物の流入がサンゴの生育に悪影響を及ぼしているが、その影響を定量的に評価する手法がなかった。──研究チームは、日本最大のサンゴ礁海域である沖縄県の石垣島と西表島の間に広がる「石西礁湖」の31地点で底質リンとサンゴ密度、白化、藻類被度との関係を調査し、統計学的手法で底質リンの閾値を算出した。底質リン(海水交換性リン酸塩EPS)は、海底の石灰質堆積物に吸着し、海水と可逆的に交換されるリン酸塩を指す。今回の調査研究では、底質リンが高い地点では、サンゴ密度が低く、白化が進む傾向が見られ、底質リンはホンダワラ類などの海藻の増加と正の相関があることが分かった。また、底質リンの閾値はサンゴの種類によって異なり、稚サンゴは成体サンゴよりも感受性が高いことが判明した。──本研究は、地球環境問題の解決を目指す、総合地球環境学研究所のLINKAGEプロジェクトの一環として行われたもので、陸域由来の栄養塩負荷とサンゴ群集の変化を定量的に結びつけた点で新規性が高く、今後の沿岸管理やサンゴ礁保全の指標として期待される(掲載誌:Marine Biotechnology)。

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