「海水中のプランクトンが異常に増殖して海水が変色する現象(赤潮)」は、窒素・リン等の栄養塩類、水温、塩分、日照、競合するプランクトン等の要因が複雑に絡んで発生する。赤潮を構成するプランクトンのなかには毒素を産生したり、酸素を大量に消費して魚介類の大量死や人間に健康被害をもたらすものがある。有害な赤潮の発生時に出現するプランクトンは数種特定されているが、なかでも「カレニア・ミキモトイ」は瀬戸内海をはじめ、西日本以外の海域で甚大な漁業被害を引き起こしている。しかし、これまで有害な赤潮の時空間的な変化を巨視的・長期的かつ広域的に把握することはできていなかった。──今回、水産研究・教育機構の研究チームは、「カレニア・ミキモトイの優占による有害な赤潮(以下『カレニア赤潮』)」の過去30年間にわたる変化を詳細に分析した。先ず、全国の水産試験研究機関が保有している1991年から2020年までの赤潮年報データを集約し、期間ごとにばらつきのあった「赤潮」の基準を再定義することで独自のデータセットを構築した。その上で、有害プランクトンの「細胞密度」の変動を解析したところ、瀬戸内海では九州海域の2倍の頻度でカレニア赤潮が発生していることや、2015年に八代海で最高細胞密度66万5千細胞/mLの赤潮が記録されたこと、最も早期に発生した赤潮は1月に、最も遅い赤潮は11月に発生していることなど、新たな知見を得ることに成功した。また、これらの知見から、西日本全域でカレニア赤潮の細胞密度が増加し、発生期間が長期化していることや、カレニア赤潮の発生が早期化している傾向が示唆された。──研究チームは、こうした傾向が海洋温暖化やエルニーニョなどの中長期的な気象現象の影響を受けている可能性が高いと考察している。また、今回開発したデータ処理手法は、他の有害プランクトンにも応用可能であるため、赤潮対策のための基礎情報として、水産業や学術界への貢献が期待できると述べている。
情報源 |
【オンライン情報源1】 水産研究・教育機構 プレスリリース |
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配布形式1 |
【交換形式名称】HTML 【版】不明 |
タイトル | 水産研究・教育機構、カレニア赤潮の長期的変化を初解明 |
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日付1 |
刊行日: 2025/04/11 |
要約 | 「海水中のプランクトンが異常に増殖して海水が変色する現象(赤潮)」は、窒素・リン等の栄養塩類、水温、塩分、日照、競合するプランクトン等の要因が複雑に絡んで発生する。赤潮を構成するプランクトンのなかには毒素を産生したり、酸素を大量に消費して魚介類の大量死や人間に健康被害をもたらすものがある。有害な赤潮の発生時に出現するプランクトンは数種特定されているが、なかでも「カレニア・ミキモトイ」は瀬戸内海をはじめ、西日本以外の海域で甚大な漁業被害を引き起こしている。しかし、これまで有害な赤潮の時空間的な変化を巨視的・長期的かつ広域的に把握することはできていなかった。──今回、水産研究・教育機構の研究チームは、「カレニア・ミキモトイの優占による有害な赤潮(以下『カレニア赤潮』)」の過去30年間にわたる変化を詳細に分析した。先ず、全国の水産試験研究機関が保有している1991年から2020年までの赤潮年報データを集約し、期間ごとにばらつきのあった「赤潮」の基準を再定義することで独自のデータセットを構築した。その上で、有害プランクトンの「細胞密度」の変動を解析したところ、瀬戸内海では九州海域の2倍の頻度でカレニア赤潮が発生していることや、2015年に八代海で最高細胞密度66万5千細胞/mLの赤潮が記録されたこと、最も早期に発生した赤潮は1月に、最も遅い赤潮は11月に発生していることなど、新たな知見を得ることに成功した。また、これらの知見から、西日本全域でカレニア赤潮の細胞密度が増加し、発生期間が長期化していることや、カレニア赤潮の発生が早期化している傾向が示唆された。──研究チームは、こうした傾向が海洋温暖化やエルニーニョなどの中長期的な気象現象の影響を受けている可能性が高いと考察している。また、今回開発したデータ処理手法は、他の有害プランクトンにも応用可能であるため、赤潮対策のための基礎情報として、水産業や学術界への貢献が期待できると述べている。 |
目的 | ニュースリリース等の配信 |
状態 | 完成 |
問合せ先(識別情報)1 |
【組織名】水産研究・教育機構 【役職名】 【個人名】 【電話番号】 【FAX番号】 【住所】 【E-mail】 【オンライン情報源】水産研究・教育機構 【案内時間】 【問合せのための手引き】 【役割】情報資源提供者 |
分野 | 水・土壌環境 |
種別 | ニュース・イベント:ニュース:国内ニュース |
場所 | アジア:日本 |
キーワード | 九州海域、エルニーニョ、瀬戸内海、赤潮、気象現象、海洋温暖化、データ解析、長期変化、カレニア・ミキモトイ、細胞密度 |
言語1 | 日本語 |
文字集合1 | utf8 |
主題分類 | 環境 |
ファイル識別子 | 123266 |
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言語 | 日本語 |
文字集合 | |
親識別子 | |
階層レベル | 非地理データ集合 |
階層レベル名 | 国内ニュース |
日付 | 2025/04/16 |
メタデータ標準の名称 | JMP |
メタデータ標準の版 | 2.0 |
国内ニュース | https://tenbou.nies.go.jp/news/jnews/detail.php?i=37691 |
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