都市の鳥は人を避けない傾向―科博、東京で警戒性低下を実測

国立科学博物館の濱尾章二名誉研究員は、東京都心で繁殖する野生鳥類の警戒性が、農村部に生息する同種個体よりも低下していることを実証した。人が近づいた際に逃げ始める距離(逃避開始距離)を指標に、東京と茨城県南部の農村地帯を比較した結果、対象とした7種すべてで都市部の値が短かった。都市の鳥は人を危険とみなさない行動特性を示す可能性が、国内データで初めて明確になった(掲載誌:Journal of Ethology)。

本調査は、東京23区内の緑地12か所と、茨城県南部の農村地帯18か所で行われた。対象は、東京都心で繁殖するスズメ、ハシブトガラス、ムクドリ、キジバト、シジュウカラ、ヒヨドリ、ハクセキレイの7種で、学習途上の幼鳥を除いた成鳥のみを対象に、繁殖期初期(3月中旬~5月上旬)に測定した。接近距離や群れの規模、地上高、退避可能な場所までの距離などの影響は統計解析で制御した。

結果は一貫しており、例えばスズメでは、茨城の115個体の平均逃避開始距離が11.1m(20m超の個体も確認)だったのに対し、東京の82個体では平均4.2mで、10mを超える例はほとんど見られなかった。他の6種でも同様に、東京の逃避開始距離は明らかに短かった。さらに、欧州の先行研究(63種)と比較しても、東京―茨城間の差(効果量)は大きく、警戒性低下の程度が顕著であることが示された。また、都市への定着時期(1920~30年代から1970年代にかけて)と警戒性低下の大きさには相関が見られず、比較的短期間で行動変化が起こる可能性が示唆された。これは世代を経た遺伝的変化ではなく、学習など後天的要因の関与を示す。

濱尾名誉研究員は、「都市鳥類で確認された警戒性の低下が、人馴れや人との軋轢が生じる背景を理解する上での一助となり得る」と指摘している。

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