日本の里地里山の調査・分析について(中間報告)

日本の里地里山の調査・分析について(中間報告)/■自然環境局■/日本の里地里山の調査・分析について(中間報告)/1.調査・分析の経緯/ 本調査・分析は、環境省自然環境局が平成11~13年度に(財)自然環境研究センター及び(財)日本自然保護協会に委託した調査結果等を基に、今年度末に予定されている生物多様性国家戦略改定に向けて分析を加えたものである。/2.里地里山の定義等/ 里地里山とは、都市域と原生的自然との中間に位置し、様々な人間の働きかけを通じて環境が形成されてきた地域であり、集落をとりまく二次林と、それらと混在する農地、ため池、草原等で構成される地域概念である。(二次林約800万ha、農地等約700万haで国土の4割程度を占める。)*一般的に、主に二次林を里山、それに農地等を含めた地域を里地と呼ぶ場合が多いが、言葉の定義は必ずしも確定しておらず、ここでは全てを含む概念として里地里山と呼ぶこととした。/3.調査・分析の結果概要/ 里地里山は地域概念であるから、実際には二次林の他に自然林、人工林等も含まれると考えられるが、その中核部分が二次林であること及び環境省植生調査データ等による生態的分析を主眼とするため、まずは二次林を分析対象とした。/(1)自然環境の観点からの二次林の分析 /は「まとめ・考察」/ 里地里山の中核を成す二次林(ここでは、植生自然度7のミズナラ林、コナラ林、アカマツ林等及び植生自然度8のうちシイカシ萌芽林を対象とした。面積は約770万ha、全国の21%に相当。)を分析対象とし、全国の二次林を植生の特徴により、大きく4タイプに分類した。4タイプの全国分布図を3次メッシュ(1km四方)レベルで作成し、各タイプの自然環境特性を分析した。<図1 ・ 表[PDF(12KB)]>/4タイプ毎の特性分析結果概要は以下のとおり。/[1] ミズナラ林(180万ha)/ 本州北部を中心に比較的寒冷で高標高の地域に分布し、人為干渉が比較的小さい。放置すると、やがてミズナラやブナの自然林に移行する。/[2] コナラ林(230万ha)/ 本州東部を中心に中国地方日本海側などに分布し、薪炭林として積極的に活用されてきた。管理せずに放置すると常緑広葉樹林に移行し、林床に見られるカタクリ、スミレ等の植物が消失することもある。また、タケ類やネザサ類の侵入・繁茂によって、更新や移行が阻害され森林構造の単純化を招く。/[3] アカマツ林(230万ha)/ 西日本を中心に、コナラ林より乾燥した土地にも分布する。燃料等として広く利用されてきた。管理せずに放置するとやがて常緑広葉樹林等に移行する。マツ枯れによる一斉枯死を招いた場合には、ツツジ等の低木林のやぶが形成され、生物多様性が低下する。/[4] シイ・カシ萌芽林(80万ha)/ 南日本を中心に比較的温暖で低標高の地域に分布し、常緑樹の薪炭林として活用されてきたが、人為干渉度は比較的小さい。放置すると常緑広葉樹の自然林に移行する。タケ類の侵入が見られる場合もある。/・なお、4タイプに属さないその他の二次林(50万ha)としては、北海道のシラカンバ林や西日本のシデ類が挙げられる。(これらを放置すると他の自然林に移行)/◆二次林は植生タイプによって特性が異なり、その特性に応じた取扱が必要。/◆二次林が手入れされずに放置された場合、生物多様性への影響が特に大きいのは[2]コナラ林と[3]アカマツ林であり、これらについてはその自然特性、問題に応じた取扱が必要である。/(2)ふれあい活動の観点からの里地里山の分析/ ふれあい活動が行われている里地里山の情報を、アンケート調査(平成11・12年度実施)やインターネット調査(平成13年5月から環境省自然環境計画課のホームページ<http:////www.satoyama.org//>にリストを公開し追加登録を受付)等により収集した結果、約1000件の活動団体及び活動フィールドが抽出された。/ 活動団体及び活動フィールドの一覧表(別添)及び分布図を作成するとともに、それらの特性を分析した。概要は以下のとおり。<図2 ・ 図3[PDF(29KB)]>/活動フィールドの多くは都市近郊に位置する。特に、東京・大阪・名古屋の3大都市圏中心部から50km圏(国土の約5%)の中にフィールド総数の34%が分布している。 /フィールドにおけるふれあい活動の内容としては、自然観察会の実施が最も多く、雑木林(二次林)の維持管理活動や調査活動が続く。 /アンケートの結果、里地里山が抱える問題として最も多く挙げられたのは、宅地、道路等の開発事業であり、ゴミ・産業廃棄物等の不法投棄や、ササの繁茂、タケの侵入等による雑木林の質の低下も大きな問題となっている。 /◆里地里山活動フィールドは都市近郊に集中しており、都市住民の身近な里地里山に対するニーズの高さが反映されている。特に、都市内の人工的な緑ではなく本物の自然として、里地里山への期待が高まっている。/◆里地里山は、身近な自然観察活動、環境教育活動の場(拠点)として活用されている。/◆里地里山の抱える問題として、開発事業による自然の量的な減少に加え、ゴミの放置やタケ類の侵入等による質の低下が挙げられる。/(3)里地里山地域と絶滅危惧種等の分布との関係/ 里地里山を構成する主要な要素を、二次林、二次林が混在する農地、二次草原の3タイプと捉え、2次メッシュ(10km四方)レベルで概略的な分布地域を作成した<図4>。里地里山地域は、2次メッシュレベルで国土の4割程度である。/ この里地里山の分布と、絶滅危惧種が集中して生息生育する地域(RDB種集中地域)との関連を分析したところ、以下のとおり、RDB種集中地域の多くが里地里山であることがわかった。<図5 ・ 図6>/動物RDB種集中地域(メッシュ内に動物の絶滅危惧種が5種以上生息する地域)の49%が里地里山の範囲に分布。 /植物RDB種集中地域(メッシュ内に植物の絶滅危惧種が5種以上生育する地域)の55%が里地里山の範囲に分布。 / また、絶滅危惧種のうちかつては身近であった種(メダカ等)の生息地域との重複関係を個別に見てみると、生息が確認された地域の多く(メダカの 69%、ギフチョウの58%)が里地里山にあることがわかった。<図7 ・ 図8>/ さらに、絶滅危惧種以外の身近な種(トノサマガエル、ノコギリクワガタ、サシバ等)の生息地域の多く(それぞれ62%、53%、65%)が里地里山に分布することもわかった。<図9 ・ 図10 ・ 図11>/◆絶滅危惧種(メダカ等かつて身近にいた種を含む)が集中して生息する地域の多くは、原生的な自然地域よりむしろ里地里山地域である。/◆かつては身近にいた絶滅危惧種(メダカ、ギフチョウ等)及び絶滅危惧種以外の身近な種(トノサマガエル、ノコギリクワガタ等)の生息地域の5割以上が里地里山にある場合が多いことがわかった。/◆以上により、里地里山が、生物多様性保全上(絶滅危惧種をはじめとする野生生物の保護上)重要な地域であることが明らかになった。/4.今後の対応/ 環境省自然環境局では、里地里山の保全に関し、専門家、関係機関、NGO等も交えさらに調査・検討を進め、今年度末に改定予定の生物多様性国家戦略の中に織り込んでいきたいと考えている。また、関係省庁とも連携しつつ、里地里山の保全・再生のためのモデル事業等具体的な対策の実施について、来年度予算等で積極的に取り組んでいきたいと考えている。/(別添) 里地里山の活動団体及び活動フィールド[PDF(83KB)]

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