今後数十年で南極の生態系は大きく変化、アメリカ国立科学財団支援の科学者チームがコンピュータモデルで予測
発表日:2014.02.26
アメリカ国立科学財団(NSF)が支援する科学者チームは、気候変動によって今後数十年で南極の生態系が広範囲にわたって大きく変化するという研究論文を発表した。研究チームが、海氷、海洋、大気、氷床間の相互作用をみる地域海洋モデル(ROMS)を用いて予測したところ、気温の上昇や風況パターンの変化が開水(無氷)期間を長期化し、捕食者と被食者双方に影響を及ぼすことが示されたという。南極の海氷や流氷の分布と範囲は、過去50年にわたって劇的に変化しており、今後、ロス海における夏季の海氷は2050年までに56%、2100年までに78%減少する可能性があるという。南極の生物の多くは氷に依存しているため、氷が変化すると食物網の底辺を担う藻類やオキアミなどの分布が変化し、これらを捕食するペンギンやクジラなど食物網の上位にも影響を及ぼす。科学者チームは、生態系の変化を明確に示すことは困難であるとしながらも、食物網に及ぼす影響は大きく、生態系崩壊につながるとの懸念を示した。
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