アメリカ海洋大気庁など、アメリカ西海岸で深刻な海洋酸性化と貧酸素化が進行と報告
発表日:2016.04.04
アメリカ海洋大気庁(NOAA)の科学者らで構成する専門家パネルは、アメリカ西海岸で海洋酸性化と貧酸素水域が拡大しており、生態系や漁業を脅かしていると報告した。海洋は大気中のCO2の約3分の1を吸収しており、人為起源のCO2排出量の増加に伴い海洋酸性化が加速することが懸念されている。こうした中、パネルのメンバーであるNOAAやアメリカ西海岸の各州、カナダのブリティッシュコロンビア州の科学者は、西海岸の海洋の状態に関する知見をまとめた。それによると、サケやニシンの餌となる巻貝の殻が溶解しているなど、海洋酸性化の影響が既に現れており、カキ、ムール貝、カニなどの漁業が深刻な打撃を受ける可能性があるという。また、水温の上昇と陸上からの栄養塩の流出によって、魚類が生息できない貧酸素水域が拡大していることも確認された。科学者らは、海草藻場を保護・回復させることで海水のCO2濃度を低減する、陸上からの汚染流出を防ぐ、地域社会が海洋の変化に備えるために海洋酸性化と貧酸素化の研究の優先事項を定める、などの対策を推奨している。
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