アメリカ海洋大気庁、北極海西部で海洋酸性化が拡大と報告
発表日:2017.03.09
アメリカ海洋大気庁(NOAA)などの科学者チームは、海洋酸性化が北極海西部で面積・水深ともに急速に広がっていると報告した。海洋科学者らの研究によると、酸性化した海水塊は、1990年代から2010年までの間に、アラスカ北西沖のチャクチ海から北極点付近まで北方へ約300海里拡大し、水深は海面下約325フィートから800フィート超まで広がったという。分析によると、酸性化拡大の主因は海水循環パターンと夏季の海氷融解により、冬季に太平洋から北極海へ流入する水が増加したことだという。すでにCO2を大量に含んでいる太平洋の海水塊は、有機物の分解によるCO2も吸収しながら北極海に流入して海域の酸性度を増す。冬季にそこに氷ができると、氷の下の酸性化した水が重くなり、下層へ沈んで深海にも広がっていくという。海の酸性化が進むと、貝類は殻の形成・維持が困難になる。巻貝の一種の翼足類は北極海のサケやニシンの重要な餌で、その減少は海洋生態系やそれらに依存する地域社会に悪影響を及ぼすと懸念されている。
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