欧州環境庁、EU共通農業政策が生物多様性保全に役立つ可能性を示唆
発表日:2010.03.09
欧州環境庁(EEA)は、自然の価値の高い農地を保全し、生物多様性の喪失を食い止めるために、EUの共通農業政策(CAP)をさらに効果的に活用できるとする報告書を公表した。欧州では、現在、農地の利用は、集約的な農地、耕作放棄地、植林地という3種類で特徴づけられるが、集約度が低く、生物多様性の保全にも役立つ伝統的な農地、いわゆる「自然価値の高い(HNV)農地」は減少し続けている。EEAの報告書では、EUの支出を、HNV農地の支援に向けることが、生物多様性を豊かにすることにつながると強調。最近のCAP改革にも関わらず、CAPによる支払いの多くは生産性の高い農地に充てられ、HNV農地には比較的支出額が少ないという。HNV農地を保全する政策的なインセンティブは、はば広い社会経済的な側面や生態系サービス等の恵みに配慮する必要がある。報告書では、EU5ヶ国のケーススタディも取り上げ、中でも、チェコとエストニアでは、生物多様性の豊かな草地やHNV農地にかなりの支出がなされていることが分かった。