（独）物質・材料研究機構（NIMS）は、固体表面や生物中におけるセシウムの分布を蛍光により可視化できる超分子材料を開発したと発表した。東日本大震災にともなう福島第一原子力発電所事故により多くの放射性物質が漏洩し広い範囲が汚染された。放射性セシウムの分布を可視化できれば除染作業を効率化でき、除染による汚染物質の削減にもつながると期待できる。今回開発した材料は、超分子相互作用を利用してセシウムを検出する蛍光プローブ。セシウムを内包すると緑色の蛍光を発するため、固体表面に分布するセシウムの位置を目で確認できる。また、既存の放射性物質を検出する方法よりも高い空間分解能を有し、ミリメートル以下の精度でセシウムの分布を可視化できる。NIMSでは、同材料が除染の効率化やセシウムの拡散・蓄積過程の解明などに大きく貢献すると期待されるという。