東京大学、海洋酸性化が造礁サンゴからソフトコーラルへの群集シフトをもたらすと発表
発表日:2013.03.25
東京大学は、海洋酸性化が造礁サンゴからソフトコーラルへの群集シフトをもたらすと発表した。造礁サンゴはその複雑な骨格から多くの生物の棲息場となり、骨格を積み上げてサンゴ礁をつくり自然の防波堤となる。同大学では、沖縄県硫黄鳥島のCO2ガスが噴出し海域の酸性化が起こっている海域においてCO2濃度や水温、流れなどの計測を行い、さらに硫黄鳥島と同じCO2条件下でソフトコーラルとサンゴの飼育実験を行った。その結果、現在の300-400μatmのCO2ではサンゴが優占するが、800-1000μatmではソフトコーラルが優占し、1500μatmを越えるとどちらの生育も抑制されることが明らかになった。これまで海洋酸性化によってサンゴ礁は海藻が優占する状態になるとされてきたが、今回の結果により、ソフトコーラル群集へ、さらにどちらも生育できない海域にシフトする可能性が新たに示された。硫黄鳥島は生態系スケールで将来の海洋酸性化を模擬していると考えられ、酸性化がサンゴ礁生態系の崩壊をもたらす危機が示唆されるという。
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