東京大、木材の増産につながる植物ホルモンと受容体に関する新たな知見を発表
発表日:2016.08.08
東京大学大学院理学系研究科は、植物の分化を制御するホルモン(TDIF)とその受容体(TDR)との複合体の立体構造を決定し、それらが結合する際の分子メカニズムを解明したと発表した。植物における前形成層細胞(維管束内で幹細胞様の性質をもつ細胞)の自己複製や木質細胞への分化は、TDIFがTDRを介して、細胞外の情報が細胞内に伝わることにより制御されている。今回研究グループは、シロイヌナズナ由来のTDRの細胞外領域をTDIFとともに結晶化し、X線結晶構造解析によってTDR-TDIF複合体の立体構造解析を決定した。解析の結果、TDRは特有の「ねじれ」「ポケット構造」を有しており、TDRがTDIFの「折れ曲がり」を認識することでTDIFに結合することが明らかになった。また、この折れ曲がりを認識する分子機構は、CLEペプチドに属する植物ホルモンに共通していることから、遺伝子改変技術によってTDRとTDIFを過剰発現させて、木材の増産などのバイオマス開発に貢献できる知見が得られたという。
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