JAMSTECなど、北半球の古気候変動における地理的な多様性を検証
発表日:2017.03.31
海洋研究開発機構(JAMSTEC)と立命館大学は、福井県の水月湖(すいげつこ)で採取した約1万2000年前の堆積物を分析し、欧州とアジアの古気候変動に見られる対照的なパターンを発見した。今回研究チームは、掘削コアの年縞(一年に一枚ずつ堆積する薄い地層)を調べ、堆積した当時の気温、降水量、および風の吹きかたの復元を行うとともに、ヨーロッパの湖沼および北大西洋の海底の堆積物の分析結果との比較を実施した。その結果、北半球の広い範囲で気温の低下が起こっていたとされる「ヤンガー・ドリアス期(1万2800年前~1万1600年前)」に、北大西洋周辺地域では温暖化が進行していたが、東アジアでは寒冷化が起こっていたことが判明した。世界の気候変動が地域によって多様性を持っていることを初めて実証的に示した事例であり、気候の将来予測の精度向上や古気候研究の方向性を示唆する成果であるという。
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