国環研と帯広畜産大、統計モデルを用いて製鉄の歴史が哺乳類の地理的分布に与えた影響を説明
発表日:2019.08.09
国立環境研究所と帯広畜産大学は、生物の空間分布を探る統計モデルのひとつ「ロジスティック型条件付き自己回帰モデル」を用いて、縄文時代以降の土地利用が現代の哺乳類の地理的分布に永続的な影響を与えていることを説明した。15,000年前(最終氷期)以降の人間活動により哺乳類の地理的分布の大幅な縮小が生じたとされているが、特定の人間活動の影響に関する調査研究は不十分であった。同研究グループは、6つの時代(縄文、弥生、古墳、古代、中世、近世)における3種類(集落・製鉄・窯)の「遺跡データベース(奈良文化財研究所)」と「第5回自然環境保全基礎調査(環境省)」の分布図を用いて、哺乳類(在来種31属)の歴史的な「出現確率」に対する、製鉄遺跡数などの考古学的変数の「影響の大きさ」を推定した。その結果、小型哺乳類では製鉄による負の影響が検出され、中大型の哺乳類では近世に製鉄を行っていた地域で多様性が高いことが示唆された。長期の人間活動と野生動物の関係に光を当てた先駆的な試みであるという。