信州大と国環研、有機溶剤へのばく露による「先天性形態異常」増大の可能性を報告
発表日:2019.08.28
信州大学と国立環境研究所は、大規模な疫学調査「子どもの健康と環境に関する全国調査(愛称:エコチル調査)」において、有機溶剤(塗料、染料、接着剤)やホルムアルデヒドへの妊娠中のばく露と出生児の「先天性形態異常」の関係を分析し、男児外性器異常の発症率が高まるという見解を発表した。今回の分析には、妊婦約10万人の全国調査データのうち、自宅の内装工事や仕事による有機溶剤等へのばく露の有無や、5つの先天性形態異常(男児外性器異常、先天性心疾患、四肢形成異常、口唇口蓋裂、消化管閉鎖)に関する生後1か月までの診断結果がそろっている67,503人(児の性比:男児34,342人、女児33,161人)のデータが使用された。妊娠中に有機溶剤等へのばく露があったと思われる母親は8,411人、先天性形態異常と診断された児は1,390人となっており、ロジスティック回帰分析では、ばく露した母親から産まれた男児の外性器異常(停留精巣、尿道下裂)のみ有意な関係が認められ、発症率が1.81倍になることが明らかとなった(ばく露の無いグループ比)。