国環研など、溶存態137Cs濃度のモニタリング手法に新たな視点を提示
発表日:2019.10.01
国立環境研究所、筑波大学および農業・食品産業技術総合研究機構は、日本原子力研究開発機構ほか2機関と共に、河川などの水に含まれているセシウム137濃度(以下、溶存態137Cs濃度)の実態を調査し、流域の地理情報データなどを用いた予測の可能性を検証した。東京電力福島第一原子力発電所の事故以降、環境省は東日本の602地点の川・湖・沿岸の放射性セシウム濃度モニタリングを実施している。今回、モニタリング対象地点のうち66地点を選び、2017年8・9月に河川水の採取し、吸着フィルターを用いて回収した137Csの濃度測定を行うとともに、流域ごとに重回帰分析による要因分析を実施した。その結果、「基準化した溶存態137Cs濃度(単位:1/メートル)」が流域内の建物用地の面積割合と強い正の相関を持つことが明らかとなった。これらの知見は、経年的に低下し、1 Lあたり0.1ベクレルよりも低い濃度となりつつある溶存態137Cs等の中長期モニタリングに対して、「任意の地点・任意の時点での予測」という新たな手法の導入可能性を示唆するものであるという。