岐阜大など、葉緑体ゲノム情報を読み解いて「ワサビ」の品種判別ツールを開発
発表日:2019.10.10
岐阜大学、静岡県および明治大学の研究グループは、ワサビ属植物の葉緑体(CP)ゲノムを解読し、適応進化過程の全容を解明した。薬味として利用されている「ワサビ(EJ)」は、江戸時代中期以降に野生のワサビ属植物を栽培化し、肥大した根茎を持つようになったと考えられている。一方、日本国内にはEJとは形態の異なる「ユリワサビ(ET)」というワサビ属植物が自生している。同研究グループは、国内のEJ・ET(7系統)および中国大陸の近縁種(5系統)について、倍数化や組換えの影響を受けないことから、進化の系譜を考察するために広く活用されている「CPゲノム」の塩基配列を解読した。地質年代「第四紀(約160万年前~)」における大陸との地理的な関係などを考慮した結果、日本列島には少なくとも3系統のEJ・ETが存在しており、EJとなった野生ワサビは日本固有種で、大陸から移動し、日本海側気候に適応したことが示唆された。CPゲノム解読の成果に加え、文献調査なども行い、EJ主要3品種を識別できるDNAマーカーの構築にも成功したという。
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