森林総研、鳥類と哺乳類の種子散布行動に関する研究成果を紹介
発表日:2020.03.04
森林総合研究所は、京都大学と共に行った調査研究を通じて、鳥類と哺乳類では平均的な種子散布距離が異なり、鳥類は樹木の現位置における更新に、哺乳類は樹木の分布拡大に貢献していることを明らかにした。樹木の果実を食べる動物は糞を排泄し、森林内で樹木の種子を散布する。しかし、そうした行動を直接調査することは難しく、動物種ごとの種子散布行動について詳しいことは分かっていなかった。今回、京都大学と同研究所は、茨城県内の森林保護区に設置された調査区画(8.16 ha)において、鳥類と哺乳類の両方に食べられている液果樹木「ミズキ」を対象に、散布された種子との親子関係を調べることで散布距離を算定し、糞のDNA塩基配列から種子を散布した動物を特定した。各種鳥類の散布距離は平均13mで、中型哺乳類(アナグマ、タヌキ)の散布距離は平均127mという結果となり、鳥類は種子をミズキの樹冠の真下に落とし、その場での更新に役立ち、中型哺乳類は鳥類よりも遠くに種子を運び、主に樹木の分布拡大を助けているという役割の違いが示されたという。
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