森林総研など、秋冬の山地における「動物の種子散布」事例を検証
発表日:2019.12.18
森林総合研究所、総合地球環境学研究所および東京農工大学などの研究グループは、日本の山地に自生し、秋から冬に結実する樹木「サルナシ」の種子が、動物によって標高の低い場所に散布されていることを実証した。同研究グループは、樹木の果実を動物が丸ごと飲み込み、種子を糞として排出する「種子散布」パターンに着目し、夏に結実する野生の「サクラ」の種子がツキノワグマによって標高の高い場所に散布されていることを解明している(Naoe,S.et al., 2016)。今回、既往報告と同じ調査地(東京都奥多摩地方)で、ツキノワグマ、ニホンザル、タヌキおよびテンの糞を採取し、秋冬に結実する「サルナシ」の種子散布に関与した哺乳類の内訳を調べ、種子の酸素安定同位体比に基づく散布距離(標高方向)を算出したところ、サクラとは逆に、標高の低い場所(気温の高い場所)に偏って種子散布が起きていることが分かった。秋冬の種子散布では、動物がサルナシのような樹木の温暖化への適応を阻害し、衰退をもたらす可能性があるという。
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