国環研、化学物質による発達障害を脳の体積変化で評価する手法を提案
発表日:2020.03.27
国立環境研究所(国環研)は、研究プロジェクト報告「非侵襲MR測定を用いた化学物質のヒト発達障害への影響評価法の提案と妥当性の検討に関する研究(平成27~29年度)」を公表した。近年、発達障害等が増加していると言われており、化学物質が要因のひとつと見られている。現在、化学物質の発達障害への影響については、暴露された動物の「行動異常」を評価する方法(以下「従来法」)が用いられている。しかし、ヒト脳と動物脳との差異を埋めて、ヒト脳における障害を予測することは困難であった。国環研は、ヒト脳を傷つけることなく(非侵襲的に)測定できる「磁気共鳴(MR))」測定を用いた測定法を開発することで、従来法の課題を克服するとともに、健常人と患者のデータ比較などによるヒト発達障害の定量的な評価が可能になると考えた。先ずは非侵襲MR測定法の開発し、新たな測定法による健康影響指標の探索を行い、発達障害小動物モデル(化学物質を曝露させたラット)における応答などを調査した。その結果、ヒト脳を3つの領域(灰白質、白質、脳脊髄液)に分類して評価することが可能となり、前頭葉において「白質」領域の体積減少が生じることが示された。ヒト脳と動物脳での類似応答に関する知見が得られたことで、発達障害の環境要因に関する研究の進展が期待できるという。
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