兵庫県立大など、シカ柵が草原の植物・昆虫にもたらす多様性保全効果を実証
発表日:2020.04.08
兵庫県立大学、兵庫県立人と自然の博物館、東京大学、森林総合研究所、神奈川大学および長野県環境保全研究所の研究グループは、火入れや草刈りにより維持・保全されている草原では、シカの侵入防止柵が開花植物や訪花昆虫(チョウとマルハナバチ)の多様性に寄与していることを実証した。シカの侵入防止柵は、被食圧の軽減のみならず生物多様性の保全にも役立っていることを示す事例が全国各地で報告されている。しかし、これまでの調査研究は森林生態系を対象とするものが多かった。同研究グループは八ヶ岳・中信高原国定公園内に含まれ、主に半自然草原からなる長野県「霧ヶ峰」でフィールド調査を行った(調査実施年月:2017・2018年、6月・8月)。その結果、同地に設置された侵入防止柵の内外では、いずれの時期でも開花植物の種数、訪花昆虫の種数と個体数に差が見られ、柵の内部では回復傾向にあることが示された。同地における柵の設置効果を裏付ける調査結果であり、日本各地の草原でも同様の効果発現が期待できるという。
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