遺伝研、種分化の新要因解明に迫る調査成果を紹介
発表日:2020.07.10
国立遺伝学研究所(遺伝研)は、京都大学およびノッティンガム大学の研究者(筆頭著者、元・同研究所研究員)と共に発表した、生殖隔離(ある生物種の間に有性生殖による交流がない状態)と種の均一化に関する論文を紹介した。ある生物種が地理的な変動などによって分かれ、独立した集団として進化する過程において、生殖隔離が重要な役割を果たすと考えられている。遺伝研は、海洋生物の種分化研究の一環として、海洋・汽水・淡水を行き来するトゲウオ類の実態調査を行い、複数種が移入、共生し、異なる場所で産卵する河川を特定している。今回、同河川のトゲウオ類2種の集団について全ゲノム解読を行い、「遺伝子流動」を解析した結果、交雑は進んでいるが、遺伝的な別な種として存続しているという明確な証拠を得ることができた。海外では人為的撹乱をきっかけに種分化の逆転(均一化)が起きたという報告もあり、引き続き、生殖隔離の維持要因解明、ひいては「種の壁」崩壊の謎に迫るさらなる調査研究に取り組むという。
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