遺伝研など、「種分化」の完成を裏付ける遺伝学的メカニズムを特定
発表日:2020.07.14
国立遺伝学研究所を中心とする研究グループは、同じ場所に生息しているトゲウオ科魚類2種(以下「同所種」)の種分化が最終段階に近づいていることを実証した。同研究所は、生殖的な隔離に伴う生物の多様化や、交雑の進行による均一化に関する調査研究(Ravinet, M. et al., 2020)に取り組んでおり、北海道東部の河川に共生している複数のトゲウオ類の遺伝情報データを蓄積している。今回、低頻度での交雑は認められるものの、生殖能力を持たない雑種が見られる同所種の集団について、新たに全ゲノム配列を解読したところ、それらが地理的に隔離されて分岐し、その後二次接触して、現在は低頻度で遺伝子を交換している状況にあることが明らかになった。また、他の同所種ペアに比べると、遺伝子流動(集団間の遺伝子移動)が盛んではなく、遺伝的分化の進行を示すデータを得ることに成功した。生殖隔離の進化における大局的な区分(初期/後期)を明確化するとともに、種分化プロセスの全体像解明に向けた道筋を提示する知見であるという。
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