長崎大など、有明海の長期調査によりアカエイの繁殖生態などを解明
発表日:2020.07.30
長崎大学と米国・デラウェア大学の研究グループは、有明海の河口域から深海域までの全水域で長期の調査により、アカエイ(学名:Hemitrigon akajei)の繁殖生態と胎仔の発生、発達について解明した。エイ類は、世界で600種類以上が知られており、卵を産む「卵生種」と子宮で育てる「胎生種」がいる。胎生種のアカエイは、採集の際に頻繁に流産することや、胎仔の発達が劇的に速いことなどから繁殖生態は未解明であった。同研究グループは、アジア各国での漁獲圧の高まりからIUCN(国際自然保護連合)の評価では準絶滅危惧種(NT)に区分されているアカエイについて、繁殖生態の解明が急務であると考え、有明海で調査を続けていた。12年間で1,418匹に及ぶ調査の結果、交尾期は10月から4月までであるが、排卵は5月に集中していること、メスは体内に精子を貯蔵すること、小さな胎仔を数多く妊娠する繁殖戦略を持つことなどが明らかになった。沿岸環境や生物多様性の保全、胎生エイ類の繁殖に資す研究成果であるという。
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