森林総研など、埋没した花粉で木材資源利用史を解明
発表日:2020.10.05
森林総合研究所を中心とする研究グループは、栃木県益子町で採取した土壌に含まれる花粉の種類と個数の調査し、過去1400年間の森林変遷と人間活動の影響を調べた。その結果、8~10世紀において、アカガシ亜属(アラカシ等)やコナラ亜属(コナラ等)の樹木が減少し、代わってクリが増加していたと推定された。これは、益子地域において「須恵器」生産が盛んに行われ、燃焼材としてアカガシやコナラが大量に用いられたためと考えられる。一方、益子焼の生産が開始した19世紀中ごろ以降について、樹種構成の変化はあまり見られなかった。その要因として、益子焼が少ない燃焼材で生産可能であることや、化石燃料の使用増加が想定され、益子焼生産の影響は限定的と考えられた。製陶以外では、戦国時代の軍事増強に伴う二葉マツの増加等もあり、時代ごとの異なる人間活動による森林の変化が明らかになったという。