東大など、高温に曝されても光合成能力が衰えない植物体を創出
発表日:2021.04.28
東京大学を中心とする研究グループは、光合成反応でCO2固定を担っている酵素「ルビスコ」と、その活性化に寄与している酵素「ルビスコアクチベース(以下「RCA」)」を同時に導入した植物体(以下「二重形質転換体」)を作出し、高温に曝されても光合成能力と生産性が向上できることに実証した。同大学は、作物の環境応答の仕組みや光合成をベースとする物質生産能力の強化に関する研究などに取り組んでいる。今回、温暖化に伴う作物生産性の低下や、高温耐性作物の開発加速を世界的な課題ととらえ、イネに「イネ由来のルビスコ遺伝子」と高温適性を有するトウモロコシのRCA遺伝子(Yamori et al., 2014)を同時に導入することで、ルビスコの不活性化とRCAの失活を回避する手法をデザインした。異なる温度環境(25℃/40℃)の下で二重形質転換体の播種、栽培(10週間)を行い、ルビスコ活性化率および光合成速度を測定した結果、植物体重量を約26%増加(「野生株」比)させることに成功した。バイオマス生産量の確保や、大気中CO2濃度の削減等への貢献が期待できるという。
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