船底塗装の革新に迫る!天然有機化合物でフジツボ付着防止
発表日:2024.06.21
船体に付着した生物(以下「付着生物」)は船舶の推進力低下(抵抗増加)を招くため、1960年代半ばから船底に防汚塗装を施し、燃費改善を図る船舶が増えた。しかし、防汚塗料は毒性が強いことから、効果的かつ安全、環境にやさしい付着阻害剤が希求されている。岡山大学の髙村准教授、門田教授、杉谷大学院生・森下大学院生(研究当時)および兵庫県立大学・頼末准教授らの研究グループは、「スカブロライドF」という天然有機化合物を合成し、それがタテジマフジツボの付着を阻害する効果を持つことを発見した。スカブロライドFはソフトコーラルから単離された微量成分で、タテジマフジツボのキプリス幼生に対する生物活性を評価したところ、関連化合物も含め、毒性を示さないことが確認された(DOI: 10.1039/d4ob00698d)。―――付着生物の越境移動に関する規制が国際的な合意事項となっている。GHG削減と生態系保全に資する、新たな付着防汚剤の開発に結びつくことを期待したい。
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