大阪府立大など、サンゴ共在微生物の特異的解析技術を高効率化
発表日:2021.10.29
大阪府立大学、琉球大学および東京大学の研究グループは、サンゴに共在している<i>Ruegeria</i>属細菌を周囲の海水から取得し、サンゴ礁の保護や生態系モニタリングに活用できることを実証した。サンゴ共在微生物は多様な生理活性物質を産生しており、ヒトの腸内バランス改善に役立つ善玉菌に相当する有用菌をサンゴの健康維持・保護に役立てる手法(海洋プロバイオティクス)の研究が進められている。同グループの研究者らは、<i>Ruegeria</i>属細菌が病原菌からサンゴを守っている可能性を見い出し(Miura, N. et al., 2019)、海水から共在微生物を検出するプライマーセットを設計している(Kitamura, R. et al., 2020)。今回、沖縄の瀬底島周辺における調査において、造礁サンゴ試料の抽出液を培養し、出現したコロニーから多様なサンゴ共在細菌を取得することに成功した。また、海水サンプルから出現した複数のコロニーに対して、特異的なプライマーを作製してPCR増幅を行った結果、<i>Ruegeria</i>属細菌を効率的に同定できることが確認された。さらに詳細な解析を実施したところ、当該プライマーによって特定微生物を迅速に検出できることや、標的細菌の存在割合がサンゴ礁からの距離ではなく、季節によって変動していることが明らかになった。サンゴ礁を破壊することなく、サンゴの健康状態を診断する技術への応用展開が期待できるという。
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