（公財）世界自然保護基金ジャパン（WWFジャパン）は、沖縄県八重山地方のハゼの一種が危機的状況に置かれていることについて解説した。この種は2022年3月に発表された論文で新亜種として記載された「イシガキパイヌキバラヨシノボリ」。石垣島の陸域淡水生態系の豊かさを象徴する種とされた。しかし、限られた生息地の一つである「名蔵アンパル」上流の小河川周辺では、大規模ゴルフリゾート建設計画による水環境への深刻な影響が懸念されている。この開発計画に、WWFジャパンは環境への影響が大きいと懸念の声をあげており、ゴルフ場の維持管理のためネオニコチノイド系を含む農薬が、周辺水域を汚染すること、赤土の流出などが同種へ影響することも考えられるという。WWFジャパンは、石垣島の名を冠したこの魚が幻の存在とならないように、魚類の研究者や研究機関、水族館、博物館、石垣市民と協力して、緊急に調査や保全の取り組みを進めていくという。