神戸市は、下水汚泥からリン回収する設備を玉津処理場（西区）に新設すると発表した。リンは食糧生産に不可欠な資源だが、全量輸入依存であり、国際的なリン価格の上昇が食料品の物価高騰の一因であるためリンの国産化が喫緊の課題となっている。同市では、2012年度のB-DASHプロジェクトで、東灘処理場にリン回収設備を設置、リンの国産化を目指した事業を開始し、MAP晶析法という回収法で、消化汚泥からリンを回収している。同市と水ingエンジニアリング（株）の共同研究体は、国土交通省の2022年度補正予算にかかる下水道革新的技術実証事業（B-DASHプロジェクト）「消化汚泥から効率的にリンを回収する技術」に応募し、2023年2月28日に採択された。それを受け、国土技術政策総合研究所の委託研究として連携で進めることとなった。従来の設備構造・制御等を改良し、リン回収効率・運転管理性を向上させた、新たなリン回収設備を玉津処理場に設置する。新設備でリン回収技術を実証し、リン肥料の流通経路を拡大していく。両者は、この実証を通して下水資源の有効活用と資源循環型社会への貢献していくという。