世界の主要温室効果ガス濃度観測史上最高を更新・WMO温室効果ガス年報第19号
発表日:2023.11.15
気象庁は、世界気象機関(WMO)温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)発刊の「温室効果ガス年報第19号」を公表した(公表日:2023年11月15日)。同庁はWMOの要請により、1990年からWDCGGを運営している。WDCGGは温室効果ガスやエーロゾル、オゾンなど地球環境の長期的な監視やその結果を提供するWMO全球大気監視計画の下に設立された全世界から報告される温室効果ガス観測データを収集提供する世界で唯一の国際機関。2022年までの観測データの解析では、大気中の主要な温室効果ガス(二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素)の増加が続いており、世界平均濃度はいずれも観測史上最高を更新した。特に、地球温暖化に対し最大の影響がある二酸化炭素は、1984年以降毎年観測史上最高の濃度を更新し続けている。また、2021年から2022年までのメタン濃度の増加量は、観測史上最高(18 ppb)を記録した1923年をわずかに下回り16ppbだが、最近10年間の平均年増加量(10.2 ppb)より大きい。大気中に放出されるメタンの約40%は自然起源だが、畜産、稲作、化石燃料採掘、埋め立て、バイオマス燃焼などの人為起源は約60%である。同年報は、11月30日から12月12日にアラブ首長国連邦・ドバイで開催される国際連合枠組条約第28回締約国会議で配布され、国際的な気候変動対策の基礎資料となるという。