スラッジ使用量削減・CO₂鉱物化技術~コンクリート製造工場でGWP16.1%低減
発表日:2026.01.19
東北大学大学院環境科学研究科の王佳婕氏らは、再生可能な植物由来キレート剤を用いたCO₂鉱物化プロセスをコンクリート製品製造現場に適用し、固体廃棄物削減とCO₂固定を同時に達成できることを実証した。従来のCO₂鉱物化プロセスが抱えてきた薬剤大量使用や廃水増大の課題を回避し、製造工程内で循環利用できる点に新規性がある(掲載誌:Scientific Reports)。
研究グループは、コンクリート製品製造時に発生するコンクリートスラッジケーキ(生コン工程で生じる脱水固形汚泥)を対象に、植物由来で生分解性のキレート剤であるL-グルタミン酸二酢酸(GLDA)水溶液を用いたCO₂鉱物化プロセスを評価した。100℃以下・常圧という温和条件で実施し、抽出溶液を最大10回繰り返し利用する試験により、スラッジ処理・炭酸塩生成・環境負荷低減効果を一体的に検証した。
その結果、スラッジケーキ量は約25%削減され、1 kgあたり156 gのCO₂を安定な炭酸カルシウム(CaCO₃)として固定できることが確認された。生成物は工業原料として利用可能な高純度CaCO₃であり、コンクリート電柱製造工場への導入を想定したライフサイクルアセスメントでは、地球温暖化係数(GWP)が16.1%低減すると算定され、酸性化や資源消費など他の環境影響カテゴリでも1.2~10.0%の改善が示された。
本成果は、製造現場内で完結する脱炭素・資源循環技術として、コンクリート製品産業への実装可能性を明確に示すものである。今後はスケールアップや長期連続運転試験を通じて、プロセス効率化と安定運用の確立を図るとしている。