新種「アリアケアカエイ」記載―160年の分類混同に終止符
発表日:2025.12.25
長崎大学総合生産科学研究科・山口教授らの研究チームは、日本沿岸で最も身近とされてきたアカエイが複数種を含むことを明らかにし、従来の「アカエイ」を再記載するとともに、有明海で確認された隠蔽種「アリアケアカエイ」を新種として正式に記載した(掲載誌:Ichthyological Research)。本成果は、1841年の原記載以来160年以上続いた分類学的混同に終止符を打ち、生態研究や資源管理に資する基盤情報を提供するものである。
研究チームは、国内外の博物館に保管されている古い標本と、近年採集した多数の個体を比較し、形態の違いを詳細に分析した。また、歴史資料や図譜を精査し、過去の記載に複数種の特徴が混在していたことを突き止めた。その結果、従来の「アカエイ」の特徴を再定義し、見分けが難しい隠れた種を識別する手法を確立した。学名の基準となる標本(レクトタイプ:過去の記載に使われた複数標本から選ばれた基準個体)と、新種の基準標本(ホロタイプ:新種記載時に指定する単一標本)も明確化している。
今回の研究では、アカエイ類の幼魚を多数採集し、レクトタイプとの同種一致を確認した上で、アカエイの特徴を再定義した。また、有明海産個体をホロタイプに指定し、アリアケアカエイを新種として命名・記載した。両種の生態差も明らかになりつつあり、今後の分布や資源量評価の精度向上が期待される。
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