森林を炭素吸収源にすることは危険!世界の森林科学者が警告
発表日:2024.07.18
総合地球環境学研究所(地球研)は、国際森林研究団体連合(IUFRO)が発表した報告書を紹介した。本報告書は「国際森林ガバナンス:傾向、欠点、新しいアプローチの批判的レビュー」と題され、土地利用や気候変動に関する政策立案者に向けて、公正で効果的な森林政策の情報を提供するために作成された。IUFROは120カ国、15,000人の森林科学者からなる非営利・非政府ネットワークで、地球研のFairFrontiersプロジェクトリーダー、Grace Y. Wong准教授を含む36名の研究者が執筆している。特筆すべき点は、森林を炭素吸収源と見なす気候変動政策に対する批判である。Wong准教授は「森林減少を抑制する国際的な森林ガバナンスの効果は限定的で測定が困難だ」と述べている。「熱帯林伐採の減少には進展が見られるが、気候変動や生物多様性の損失、社会的・経済的不平等の拡大への危機感は高まっている」とも指摘している。また、「森林炭素取引や森林破壊ゼロサプライチェーンなどの市場ベースの森林保全対策は、不平等を生む危険性がある」と警告する。その上で、「国の規制やコミュニティ主導の対策など非市場ベースの仕組みが、公正な森林管理のための重要な手段となる」と結論づけている。公平性の観点から森林ガバナンスと資金の流れを掘り下げることが、FairFrontiersプロジェクトの中核ミッションだ。
▲ページ先頭へ
新着情報メール配信サービス
RSS