道東沿岸域のラッコ、食べ分け術で赤潮の影響を克服!
発表日:2024.11.25
京都大学大学院野生動物研究センター・三谷教授らの研究グループは、北海道東部沿岸域における赤潮がラッコの捕食行動に与える影響を明らかにした。──研究グループは、2020年から2023年までの夏季にラッコの捕食行動と底生生物の密度を調査した。捕食行動は双眼鏡を用いた船上目視調査で観測し、底生生物の密度はグリッド内に設置したコドラートで計測した。調査は赤潮前、赤潮直後、赤潮から1年後に行い、3つの期間に分けてデータを収集した。その結果、赤潮直後にはラッコの捕食した餌生物からウニが完全に消失し、二枚貝が増加した。しかし、1年後にはウニの捕食割合が赤潮前のレベルに戻り、二枚貝の割合も減少した。これらの知見より、赤潮による影響は一時的であり、ラッコは餌生物の損失を他の餌生物で補完できることが示された。──この海域は豊かな漁場であり、2014年からラッコの繁殖個体が確認されているが、2021年10月に大規模な赤潮が発生し、底生生物に大きな影響を与えた。 今後の展開として、研究チームはラッコの採餌行動の長期的な変化を継続的に調査し、地球規模の気候変動が海洋高次捕食者に与える影響を明らかにすることを目指している。
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