世界のオゾン量は横ばい⋯南極オゾンホールは依然大規模
発表日:2024.11.27
気象庁は11月27日、2023年のオゾン層と紫外線の観測結果などを発表した。同庁の報告によると、世界のオゾン量(平均値)はほぼ一定であったものの、南半球高緯度のオゾンホールの規模が最近10年間の平均値より大きく推移した。他方、北半球高緯度では顕著なオゾン層破壊は見られなかった。また、茨城県つくば市および南極昭和基地の上空のオゾン層については、月平均オゾン全量の変動が観測され、特に10月のつくばのオゾン量は観測開始以来最も多い値となった。──同日、気象庁は「南極オゾンホールは依然として大きな規模」であると報じている。2024年の南極オゾンホールの最大面積は、9月28日に2,240万km²に達し、これは南極大陸の約1.6倍に相当する。大気中のオゾン層破壊物質の濃度は緩やかに減少しているものの、依然として規模の大きな状態が続いている。──気象庁は、オゾン層保護対策の一環として、衛星観測データを用いて南極オゾンホールの状況を解析している。オゾン層破壊物質の規制により、今後は南極上空のオゾン層は回復傾向に向かうと予測している。しかし、1980年頃の水準に回復するのは今世紀半ば以降とされており、引き続き国際的な協力が求められると指摘している。また、紫外線の観測結果も重要であり、特につくばにおける紅斑紫外線量の年積算値が観測開始以来最も多くなったことに触れている。