小笠原諸島で独自の進化?小さなガの仲間・2新種発見
発表日:2024.12.09
九州大学大学院農学研究院の松井学術研究員らは、小笠原諸島でメイガ上科のツトガ科に属する2新種を発見した。──メイガは、比較的小さなガの仲間であり、農業害虫として知られている。ツトガ科に属する種はイネ科牧草やトウモロコシなどに大きな被害を与えることがあるが、本研究は小笠原諸島の生物多様性解明に向けた調査の一環として行われた。──2022年から2024年にかけて同諸島で実施した調査により、ツトガ科のGlaucocharis属2新種が確認された。Glaucocharis属は世界で約160種、日本で7種が知られているが、今回見つかった新種は翅の斑紋や生殖器の形態が既知の種から大きく逸脱していた。2新種は完全に同所的に生息し、幼虫はコケを食べて育つことから、小笠原諸島において独自の進化を遂げたものと考えられた。──海洋島という隔絶された環境における種分化パターンを研究するうえで興味深い材料であり、研究チームは今後も小笠原諸島の生物多様性解明に向けた調査を継続していくという。松井学術研究員は「小笠原諸島での野外調査はハードですが、様々な分類群に通じた研究者が調査を行うことでまだまだ未知の種が見つかると思っています」と抱負を述べている。