大阪大谷大学、環境DNAでブルーギルの分布拡大経路を再現
発表日:2025.01.14
大阪大谷大学の内井准教授と脇村助教らの研究チームは、環境DNA分析手法を用いて侵略的外来種ブルーギルの「分布拡大経路」を迅速に推定する手法を開発した。──一般に、外来種の新たな生息地への侵入は少数の個体から始まり、分布域が拡大するにつれて「遺伝的多様性」が失われると考えられている。研究チームはこうした傾向を踏まえ、環境DNAから遺伝的多様性低下のパターンを検出する手法を考案した。琵琶湖を含む33ヶ所の水域で採取した水から環境DNAを抽出し、ブルーギルのDNA塩基配列を解読した結果、分布拡大経路を琵琶湖から離れるにつれて検出されるハプロタイプの種類が減少することが確認された。すなわち、ブルーギルの遺伝的多様性は、分布拡大経路の距離と明確な相関関係にあることが明らかになった。──本成果により、西日本ではブルーギルが琵琶湖から周辺水域へ徐々に分布を拡大していることが再現された。環境DNAを用いたハプロタイプ組成モニタリングが、外来種の現時点での分布情報に加え、分布拡大経路の推定にも有効であることを裏付けた知見であり、外来種の拡散経路遮断など、早期駆除対策に活かされることが期待される。