洋上風力の集魚効果?長崎大、環境DNAで定量評価
発表日:2025.07.23
長崎大学水産学部・八木光晴准教授らの研究グループは、長崎県五島市沖で建設中の浮体式洋上風力発電施設に魚類の集魚効果があるかどうかを、環境DNA(eDNA)技術を用いて検証した。調査は2023年4月から12月にかけて計5回実施され、風車近傍区と対照区の海水を採取し、マアジのDNA断片の濃度を比較した。
本研究では、長崎大学の練習船「鶴洋丸」を用いて採水を行い、ろ過・抽出・リアルタイムPCRによってマアジのDNA濃度を測定した。その結果、風車近傍区では年間を通じてマアジの環境DNA濃度が有意に高く、同種が風車周辺に集まっている可能性が示された。この成果は、浮体式洋上風力発電施設が海洋生物の行動や分布に影響を与える可能性を示すものであり、再生可能エネルギーの導入と海洋環境保全の両立を考える上で重要な知見である。
洋上風力を巡っては、風車が魚類の回遊経路に影響を与える可能性や、漁業への影響が検討課題となっている。研究者は今後、マアジ以外の魚種にも対象を広げた網羅的な調査を進めるとしている。
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