国環研など、環境DNAの水中移動などを考慮した個体数推定モデルを開発
発表日:2020.07.03
国立環境研究所は、東北大学など5大学からなる研究グループは、環境DNAの放出・移動・分解過程を踏まえた数理モデルを開発し、生物個体数の推定手法として活用できることを実証した。環境DNAは生物の生息状況や分布の判断材料となるが、個体数推定への応用には多くの課題が残されていた。同研究グループは、海洋力学シミュレーションなどから得られた流速分布情報と、生物の水槽飼育実験などから得られた環境DNAの放出率や分解率の値を組み合わせた新しい数理モデルを構築した。一方、2016年6月に京都府北部の舞鶴湾で実施した野外調査において、湾内100地点の海水を採取し、環境DNA濃度の分析結果にモデルを適用したところ、対象魚種(マアジの幼魚)の個体数が推定できることが分かった。並行実施した音響計測よりも個体数が多く見積もられる傾向があり、地点ごとの推定値にばらつきが見られるが、さらなる調査研究により精度向上を図ることで、個体密度の空間分布把握や、水域生態系の定量モニタリング技術の効率化が期待できるという。
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