植物プランクトンがエルニーニョ振幅を約40%抑制
発表日:2025.11.18
東京大学大学院理学系研究科と海洋研究開発機構の研究グループは、海洋生態系モデルに独自の解析手法を適用し、植物プランクトンがエルニーニョ現象に与える影響を初めて定量化した(掲載誌:Environmental Research Letters)。
これまで、植物プランクトンがエルニーニョ現象を弱める可能性は示唆されていたが、その定量化は困難だった。本研究では、太平洋熱帯域を対象に、光吸収による海面加熱効果を評価するアルゴリズムを開発し、海洋生態系モデルと結合した数値シミュレーションを実施した。その結果、植物プランクトンの濃度変化が海面水温に影響し、エルニーニョ現象の振幅を約40%抑制することが判明した。この抑制効果は、雲による放射効果と同程度であり、ラニーニャ現象でも同様に振幅を弱める方向に作用する。
研究グループは、植物プランクトンを含む生物地球化学過程を気候モデルに組み込むことで、数か月先の異常気象予測精度の向上が期待できると述べており、物理場のみならず、生物地球化学場の観測網の充実を今後の課題としている。
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