東京大、太平洋数十年規模気候変動に対する硫酸性エアロゾルの重要な役割を解明
発表日:2016.04.22
東京大学大気海洋研究所は、過去20年間の太平洋貿易風の加速に対する硫酸性エアロゾルの重要な役割を解明したと発表した。2000年頃から地球全体の地表気温上昇が鈍化しており、この温暖化の停滞現象の大きな要因として、気候システムの自然変動である太平洋数十年規模変動(IPO)に伴う赤道貿易風の強化と熱帯中東部太平洋の海面水温の低下が指摘されている。今回、全球気候モデルのシミュレーションから、過去80年間の熱帯西部太平洋の海面水温に見られる数十年規模気候変動が火山噴火および工業活動による硫酸性エアロゾルの変化によって生じていたことを明らかにした。過去20年の赤道太平洋の貿易風は20世紀に観測されたことのないレベルで強まっており、エアロゾルがもたらす西太平洋の海面水温上昇に伴い、赤道太平洋の貿易風加速は観測値の約34%と見積もられている。今後、大規模な噴火や工業活動による硫酸ガスの排出増が起きた場合、貿易風の変化を通じて太平洋地域の海水準や降水に大きな影響があると示唆されるという。
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