北陸先端科学技術大学院大学は、動物の胃液から分泌されるタンパク質分解酵素「ペプシン」で分解する植物由来ナイロン樹脂(以下「バイオナイロン」)を開発した。高分子材料に再生可能な原料を使用すると製造コストが増大し、「熱的力学的性能」が低下すると考えられている。同大学は、生分解性プラスチック開発の現状を踏まえ、麹菌などが糖を変換して生産する「イタコン酸」などを主原料とし、ナイロンの耐熱性を増強し、ポリエステルにはない優位性を引き出す合成手法を考案した。バイオナイロンの代表的な作製プロセスは、イタコン酸とアミノ酸の一種「ロイシン」を一般的なナイロン原料と反応させて、得られたナイロン塩を真空乾燥した後に、激しく撹拌してバルク重合し、形成された中間物質を疎水性ポリマー(DMF溶媒)に溶解、再沈殿させて精製する流れとなっている。ガラス転移温度は100℃、力学強度は85MPaを超えており、ペプシンの存在下で崩壊し分子量が低下することが確認された。海棲哺乳類に配慮した漁具・漁網への応用などを目指すという。
情報源 |
北陸先端科学技術大学院大学 プレスリリース
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機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
分野 |
自然環境 環境総合 |
キーワード | 生分解性プラスチック | 海棲哺乳類 | ペプシン | バイオナイロン | 高分子材料 | 熱的力学的性能 | イタコン酸 | ロイシン | ガラス転移温度 | 力学強度 |
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