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 東大など、ユニークな手法で夜行性魚類の行動生態解明に挑戦

発表日:2021.11.17


  東京大学と琉球大学等の研究グループは、サンゴ礁域に分布する夜行性魚類「ミナミハタンポ」に光るタグを付け、フィールド力と飼育経験等を活かして、夜間の行動生態の一端を解明した。サンゴ礁域に生息する魚類の行動生態については、昼行性魚類(チョウチョウウオ類、スズメダイ類)に関する研究が数多く行われている。しかし、日中は暗がりなどに姿を隠している夜行性魚類の行動生態は謎に包まれていた。同研究グループは、体長は15 cmほどで、サンゴ礁域の水中洞窟などの暗がりで多数の個体が群れを成しているミナミハタンポに着目した。光に敏感で、ライトを当てると逃避行動をとってしまうという課題を克服するために、光るタグを装着して放流し、追跡する調査法を考案し、試行した結果、同種が日没後一斉にサンゴ礁の外に移動してダイナミックな回遊(距離:1時間あたり400~700 m、一晩換算:最大7 km)を行っている実態が明らかになった。また、サンゴ礁の縁辺から150 m沖合まで移動し、捕食リスクの高いサンゴ礁の外にある、動物プランクトンが豐富な水深を回遊し続けている様子も観察された。さらに飼育個体を用いた水槽内観察を考慮した結果、ミナミハタンポは、夜に長距離移動してサンゴ礁の外で採餌し、昼はサンゴ礁内の浅瀬にある隠れ家で消化・排泄する行動パターンを取っており、小型の夜行性魚類がサンゴ礁の外から内までエネルギーを運搬する重要な役割を担っていることが示唆された。今回の調査法を他の夜行性魚類に応用展開することで、サンゴ礁域の正確な魚類生態の把握につながると述べている。

情報源 東京大学総合研究博物館 ニュース
機関 東京大学 東京大学総合研究博物館 琉球大学
分野 自然環境
キーワード サンゴ礁 | 動物プランクトン | 夜行性魚類 | ミナミハタンポ | 光るタグ | 行動生態 | 水中洞窟 | 捕食リスク | 行動パターン | エネルギーの運搬
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