大気汚染状況の常時監視について

大気汚染状況の常時監視

大気汚染防止法第20条及び第22条に基づき、大気汚染に係る環境基準が設定されている物質を中心に、都道府県及び大気汚染防止法上の政令市によって継続的に大気の汚染状況の常時監視が実施されている。

各都道府県では、年1回、前年度の測定結果をもとに集計した結果(月間値・年間値)を環境省に報告している。環境省では、これらをとりまとめ、大気汚染状況の常時監視結果として全国の大気汚染の概況を公表している。

測定局の種類

常時監視の対象となる物質等を測定するための大気汚染自動測定機が設置されている施設を測定局という。

測定局は、経年変化が把握できるよう、原則として同一地点で継続して監視を実施するものであり、その目的によって、一般環境大気測定局と自動車排出ガス測定局に区分される。その他、気象局、立体局、バックグラウンド局等の測定局がある。
測定局の位置とその詳細は「環境GIS+」で地図上で確認することができる。測定局データ(CSVファイル)は「大気汚染常時監視データ」ページからダウンロードできる。

一般環境大気測定局
(一般局)
大気汚染状況を常時監視するための測定局であって、自動車排出ガス測定局以外のものを一般環境大気測定局という。一般大気環境測定局は、一定地域における大気汚染状況の継続的把握、発生源からの排出による汚染への寄与及び高濃度地域の特定、汚染防止対策の効果の把握といった、常時監視の目的が効率的に達せられるよう配置される。

一般大気環境測定局は、設置の目的から2つに分類される。
  1. 環境基準の適合状況の把握、大気汚染対策の効果の確認等の地域全体の汚染状況を把握するもの
  2. 特定発生源の影響を受け高濃度の局所汚染が出現しやすい地域での緊急時の措置に対処するためのもの
自動車排出ガス測定局
(自排局)
自動車走行による排出物質に起因する大気汚染の考えられる交差点、道路及び道路端付近において大気汚染状況を常時監視するための測定局を自動車排出ガス測定局という。自動車排出ガス測定局は、自動車排出ガスによる大気汚染状況が効率的に監視できるよう、道路、交通量等の状況を勘案して配置される。

自動車排出ガス測定局には、沿道局と車道局の2種類がある。
  1. 沿道局は、環境測定のための採気口(空気を採取するための管の入り口)が道路の沿道上にある測定局をいう。
  2. 車道局は、採気口が道路の中央帯、車道、交通島等の上にある測定局をいう。車道局は、環境基準が適用されない。
気象局 大気環境を常時監視している測定局の中で、大気汚染物質の測定を行わず、気象項目の測定のみを行っている測定局をいう。
立体局 高層タワーなどに設置され、高さごとに大気の状態を測定している測定局をいう。
バックグラウンド局 比較的、大気汚染の影響が少ないと考えられる山間部などに設置され、直接的な大気汚染の影響がない場所で、どの程度、大気汚染物質が検出されるのかを調べるための測定を行っている測定局をいう。

速報値と確定値

大気汚染物質は自動測定機により測定され、1時間ごとにデータが算出される仕組みになっており、この1時間ごとの測定データ(1時間値)を速報値という。速報値は、測定機器の故障や通信異常等による異常値が含まれている可能性があるため、種々の情報と照らし合わせ、有効なデータかどうか検証する必要がある。この作業をデータスクリーニングといい、データスクリーニングを経て確定された値が、確定値として公表される測定値である。
速報値は、「環境省大気汚染物質広域監視システム そらまめくん」で確認することができ、確定値は「大気汚染常時監視データ」でダウンロード可能である。

月間値・年間値

1時間値(確定値)をもとに解析・集計した結果を、集計値といい、1日単位の集計値を日間値、1か月単位の集計値を月間値、1か年単位の集計値を年間値という。年間値には、年平均値、年間最大値等のほか、環境基準の評価で用いられるものとして、1日平均値の年間98%値(「日平均値の年間98%値」)、1日平均値の年間2%除外値(「日平均値の2%除外値」)等の集計項目がある。
1990年、2000年、2010年、2020年と最新年度の年平均値は「日本の大気環境Light版」で確認することができる。
その他の月間値・年間値は、「環境GIS+」で地図上で確認することができるほか、「大気汚染常時監視データ」ページからCSVファイルとしてダウンロード可能である。