(国研)海洋研究開発機構と東京大学大気海洋研究所は、緩和策を実行しても「北極温暖化増幅(Arctic warming amplification: AA)」は継続し、むしろ強化される可能性があると指摘した。AAは、大気中のGHG濃度増加に伴って北極域の地上気温が大きく上昇する現象(他地域比)。気候モデルが開発され始めた頃から知られており、近年の気候変動に関する研究や実観測データに基づくメカニズムの理解が進み、海氷融解への影響が懸念されている。エネルギー収支や感度分析の成果に基づき、発生の主要因は、海氷域の減少(開放水面の増加)に伴う太陽光の反射率低下(吸収量の増加)がさらなる海氷域の減少を促進する正のフィードバック(氷-アルベドフィードバック)と考えられている。両者は、将来のAAについて十分な検討がなされていなかったことから、「統合的気候モデル高度化研究プログラム(所管:文部科学省、実施期間:2017~2021年度)」の成果である最新の気候モデル「MIROC6」の再現性を確認した上で、高排出シナリオ(SSP5-8.5)と低排出シナリオ(SSP1-2.6)の2ケースについて、2015~2100年の気候予測シミュレーションを実行し、異なるGHG排出量によるAAの将来変化を解析した。その結果、低排出シナリオの場合、GHGが減少すると気温上昇そのものは抑制されるが、北極域の温度上昇は抑制されにくい(全球平均比)ことが明らかになり、氷-アルベドフィードバックが北極(高緯度)の温暖化を維持する「副作用」の影響が示唆された。一方、高排出シナリオの場合、2050年頃までに夏の海氷が消失するため、こうした副作用は弱まるという結果が得られた。GHG低排出シナリオにおいてもAAの影響は考慮する必要がある、と主張している。
情報源 |
【オンライン情報源1】 (国研)海洋研究開発機構 プレスリリース 【オンライン情報源2】 東京大学大気海洋研究所 プレスリリース |
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配布形式1 |
【交換形式名称】HTML 【版】不明 |
タイトル | JAMSTECなど、「北極温暖化増幅」の振れ幅を解明 |
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日付1 |
刊行日: 2022/02/25 |
要約 | (国研)海洋研究開発機構と東京大学大気海洋研究所は、緩和策を実行しても「北極温暖化増幅(Arctic warming amplification: AA)」は継続し、むしろ強化される可能性があると指摘した。AAは、大気中のGHG濃度増加に伴って北極域の地上気温が大きく上昇する現象(他地域比)。気候モデルが開発され始めた頃から知られており、近年の気候変動に関する研究や実観測データに基づくメカニズムの理解が進み、海氷融解への影響が懸念されている。エネルギー収支や感度分析の成果に基づき、発生の主要因は、海氷域の減少(開放水面の増加)に伴う太陽光の反射率低下(吸収量の増加)がさらなる海氷域の減少を促進する正のフィードバック(氷-アルベドフィードバック)と考えられている。両者は、将来のAAについて十分な検討がなされていなかったことから、「統合的気候モデル高度化研究プログラム(所管:文部科学省、実施期間:2017~2021年度)」の成果である最新の気候モデル「MIROC6」の再現性を確認した上で、高排出シナリオ(SSP5-8.5)と低排出シナリオ(SSP1-2.6)の2ケースについて、2015~2100年の気候予測シミュレーションを実行し、異なるGHG排出量によるAAの将来変化を解析した。その結果、低排出シナリオの場合、GHGが減少すると気温上昇そのものは抑制されるが、北極域の温度上昇は抑制されにくい(全球平均比)ことが明らかになり、氷-アルベドフィードバックが北極(高緯度)の温暖化を維持する「副作用」の影響が示唆された。一方、高排出シナリオの場合、2050年頃までに夏の海氷が消失するため、こうした副作用は弱まるという結果が得られた。GHG低排出シナリオにおいてもAAの影響は考慮する必要がある、と主張している。 |
目的 | ニュースリリース等の配信 |
状態 | 完成 |
問合せ先(識別情報)1 |
【組織名】(国研)海洋研究開発機構 【役職名】 【個人名】 【電話番号】 【FAX番号】 【住所】 【E-mail】 【オンライン情報源】(国研)海洋研究開発機構 【案内時間】 【問合せのための手引き】 【役割】情報資源提供者 |
問合せ先(識別情報)2 |
【組織名】東京大学大気海洋研究所 【役職名】 【個人名】 【電話番号】 【FAX番号】 【住所】 【E-mail】 【オンライン情報源】東京大学大気海洋研究所 【案内時間】 【問合せのための手引き】 【役割】情報資源提供者 |
分野 | 地球環境 |
種別 | ニュース・イベント:ニュース:国内ニュース |
場所 | アジア:日本 |
キーワード | SSP1-2.6、緩和策、GHG、海氷融解、統合的気候モデル高度化研究プログラム、SSP5-8.5、北極温暖化増幅、Arctic warming amplification、氷-アルベドフィードバック、MIROC6 |
言語1 | 日本語 |
文字集合1 | utf8 |
主題分類 | 環境 |
ファイル識別子 | 111673 |
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言語 | 日本語 |
文字集合 | |
親識別子 | |
階層レベル | 非地理データ集合 |
階層レベル名 | 国内ニュース |
日付 | 2022/03/04 |
メタデータ標準の名称 | JMP |
メタデータ標準の版 | 2.0 |
国内ニュース | https://tenbou.nies.go.jp/news/jnews/detail.php?i=33328 |
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