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 JAMSTECなど、「北極温暖化増幅」の振れ幅を解明

発表日:2022.02.25


  (国研)海洋研究開発機構と東京大学大気海洋研究所は、緩和策を実行しても「北極温暖化増幅(Arctic warming amplification: AA)」は継続し、むしろ強化される可能性があると指摘した。AAは、大気中のGHG濃度増加に伴って北極域の地上気温が大きく上昇する現象(他地域比)。気候モデルが開発され始めた頃から知られており、近年の気候変動に関する研究や実観測データに基づくメカニズムの理解が進み、海氷融解への影響が懸念されている。エネルギー収支や感度分析の成果に基づき、発生の主要因は、海氷域の減少(開放水面の増加)に伴う太陽光の反射率低下(吸収量の増加)がさらなる海氷域の減少を促進する正のフィードバック(氷-アルベドフィードバック)と考えられている。両者は、将来のAAについて十分な検討がなされていなかったことから、「統合的気候モデル高度化研究プログラム(所管:文部科学省、実施期間:2017~2021年度)」の成果である最新の気候モデル「MIROC6」の再現性を確認した上で、高排出シナリオ(SSP5-8.5)と低排出シナリオ(SSP1-2.6)の2ケースについて、2015~2100年の気候予測シミュレーションを実行し、異なるGHG排出量によるAAの将来変化を解析した。その結果、低排出シナリオの場合、GHGが減少すると気温上昇そのものは抑制されるが、北極域の温度上昇は抑制されにくい(全球平均比)ことが明らかになり、氷-アルベドフィードバックが北極(高緯度)の温暖化を維持する「副作用」の影響が示唆された。一方、高排出シナリオの場合、2050年頃までに夏の海氷が消失するため、こうした副作用は弱まるという結果が得られた。GHG低排出シナリオにおいてもAAの影響は考慮する必要がある、と主張している。

情報源 (国研)海洋研究開発機構 プレスリリース
東京大学大気海洋研究所 プレスリリース
機関 (国研)海洋研究開発機構 東京大学大気海洋研究所
分野 地球環境
キーワード 緩和策 | GHG | 海氷融解 | 統合的気候モデル高度化研究プログラム | SSP5-8.5 | 北極温暖化増幅 | Arctic warming amplification | 氷-アルベドフィードバック | MIROC6 | SSP1-2.6
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