アメリカの研究チーム、2012年グリーンランド氷床融解の要因は北極圏を覆う薄く低い雲と報告
発表日:2013.04.03
アメリカ海洋大気庁等の研究チームは、2012年7月にグリーンランド氷床表面の97%以上が融解した空前の事態について、北極圏を覆っていた薄く低い雲が要因とする研究結果を発表した。雲には、太陽エネルギーを大気圏外に反射し地表を冷却する効果と、地表からの放射熱を再び地表に戻し温める効果がある。この2つの効果のバランスは、風速や乱気流、湿度、雲の厚さ(水分量)など様々な条件で決まる。今回の研究では、雲による氷床表面温度への影響を調べるため、高性能の大気センサーを用いた観測データを基に表面近くの状況をモデル化した。その結果、2012年の氷床融解は、北アメリカから例年にない暖かな空気が流れ込んだことも一因だが、少量の水分を含む低い雲が、一定の太陽エネルギーを地表へと通過させる一方で熱を閉じ込め、氷床表面を温めるのに最適だったことが判明したという。氷床融解は世界的な海面上昇を招いており、氷床表面のエネルギー収支に大きな影響を与える雲について理解を深めることが、今後の気候予測の向上につながるとしている。
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