国連環境計画、モントリオール議定書のオゾン層保護の取組に関する評価パネルの統合報告書を公表
発表日:2015.11.04
国連環境計画(UNEP)は、モントリオール議定書の下で進められてきたオゾン層保護の国際的取組を振り返り、その成果と課題をまとめた2014年の統合報告書(議定書の科学・環境影響・技術経済アセスメントパネルの統合報告)を公表した。1987年に同議定書が採択されて以来、各国はオゾン層破壊物質(ODS)の段階的削減に取り組んできた。報告書によると、1990年代半ばに成層圏のオゾン層は安定化し、現在は回復傾向にある。人工の化学物質とオゾン層破壊との関連性が明らかにされてから約80年後となる2060年頃までには、オゾン層は1980年代以前の状態に回復し、健康への影響(白内障・皮膚がん)も2080年頃には好転するという。報告書は、議定書の実施による健康・経済・気候面の様々な成果として、皮膚がんや白内障の予防、皮膚がんの減少による大幅な医療費節約、温室効果ガスの排出削減などを挙げる一方、ODSの代替物質の一部(ハイドロフルオロカーボン等)が気候変動の原因となる可能性など課題は残っていると指摘している。