国連環境計画、2017年版適応ギャップ報告書で適応評価方法の改善が必要と指摘
発表日:2017.11.08
国連環境計画(UNEP)は、気候変動への適応目標達成の進捗を評価する方法に焦点を当てた、2017年版適応ギャップ報告書を公表した。パリ協定では、気候変動に対する適応能力の強化、回復力強化、脆弱性低減を適応目標に設定しており、その進捗状況を評価する方法に改善の必要があるという。報告書は、広範な情報を取り入れる幅広さ、変化を明確にとらえる厳密さ、新しい評価方法を取り入れる柔軟性の3点を備えた進捗評価の枠組が有益だとする。また、既存の国別適応評価は他国と比較できないため、国別情報に基づく何らかの比較可能な基準が必要だとしている。国別目標に関する各国の自己申告は、正確性や有効性の量的評価に限界があるので、定性的評価を加えることを提案する。さらに、国連の持続可能な開発目標(SDGs)や仙台防災枠組は、扱う指標の多くが適応と密接に関係することから、相乗効果が得られる可能性が高いとしている。このように、さまざまな取組みを積み重ねることで、評価能力の向上だけでなく、進捗そのものがはかどり、目標にふさわしい適切な適応が可能になるという。