アメリカ調査チーム、過去10万年の気候変動の手がかりとなる南極氷床コアを採取
発表日:2011.02.01
2011年1月28日、アメリカの調査チームは西南極氷床で、過去10万年の地球の気候変動の手がかりとなる、深度3331メートルの氷床コアの採取に成功した。この深さは1990年代にロシアのボストーク基地で採取された氷床コアに次いで史上2番目となるもので、10万年分の雪の層に、塵、化学物質、大気中の気体などが閉じ込められている。この試料から、過去の大気中のCO2、メタン等の濃度が分かるほか、氷中の同位体組成から地表温度が、またクリプトンやキセノンの濃度から海洋温度が推定できるという。今回のプロジェクトでは特に、大気中の温室効果ガス濃度の変化と温度変化との小さな時間差を調査し、海からのCO2放出における海洋循環の役割と、CO2濃度の上昇が気温上昇を招くプロセスを研究する。また、2010年夏に採取されたグリーンランドの同時期の氷床コアと比較することで、北半球と南半球の気候変動への応答の違いも比較可能となる。調査チームは、「氷床コアの採掘は、この後に続くさまざまな研究プロセスの重要な第一歩だ」としている。
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